パイナップル

pineapple

パイナップルはブラジル原産のトロピカルフルーツです。
ビタミンCや食物繊維、たんぱく質分解酵素のブロメリンを多く含み、肉類をやわらかくする効果があります。
日本では沖縄県を中心に栽培されており、生食、缶詰、ジュースなどに使用され、用途は幅広いです。

パイナップルとは

●基本情報
パイナップルはパイナップル科アナナス属の多年草で、原産地はブラジルです。名前の由来は果実の形が松かさ(pinecone)、味がリンゴ(apple)に似ていることから「パインアップル」と名付けられ、その後「パイナップル」と呼ばれるようになりました。

●パイナップルの歴史
パイナップルは中南米の先住民が栽培化した、古くからある作物です。15世紀末にコロンブスが西インド諸島を探検した時に発見し、世界へ広まっていきました。日本へは1845年の江戸時代末期に、オランダ船によって渡来したといわれています。

●パイナップルの種類
最も多く出回っている品種はスイーズカイエン系です。葉にとげがなく、果実は黄金色で甘くて多汁。他にも、やや小ぶりで酸味のあるクイーン系、味が極めて優れたモーリシャス系などがあります。

●パイナップルの生産地
パイナップルはアジアの国々で産されています。現在、日本の市場に出回っているものの多くはタイやフィリピン産のものです。また日本では沖縄県で栽培されています。

●パイナップルの選び方
香りがよく、持ってみてずっしりと重いものがよいです。また、皮の色が赤みを帯びているのを選び、葉が枯れているものは避けた方がよいでしょう。押すとへこむぐらいがパイナップルの食べごろです。

●パイナップルの保存方法
パイナップルは果実の下の方が甘みが強いので、均一にするため、葉を下にして保存します。一度包丁を入れたものはラップに包んで、冷蔵庫の中に入れておきます。一口大に切って冷凍すれば、そのままシャーベットになります。

●パイナップルに含まれる成分と性質
パイナップルには、酸味のもとになるクエン酸をはじめ、ブロメリン、マンガン、ビタミンB1、ビタミンC、食物繊維が含まれています。
たんぱく質分解酵素であるブロメリンも多く含んでいますが、60℃以上の加熱で消えてしまうため、加熱処理されている缶詰には含まれていません。

パイナップルの効果

●疲労回復効果
酸味のもとであるクエン酸には、疲労物質を分解し、筋肉への蓄積を防止する効果があります。ビタミンB1とともにエネルギー代謝を促進し、疲労回復に力を発揮します。

●便秘を解消する効果
パイナップルの中には食物繊維が豊富に含まれており、排便をスムージにし、便秘解消に効果的です。

●食欲増進効果
ブロメリンというたんぱく質分解酵素も含んでいます。パイナップルを生で食べたときに舌に刺激を感じることがありますが、それは強力な消化酵素であるブロメリンのしわざです。これには肉をやわらかくする働きのほか、肉や魚の消化吸収を助ける働きがあります。また、クエン酸にも消化吸収を助ける働きがあるので、ダブルで効果を発揮します。【4】

●腸内環境を整える効果
ブロメリンには、腸内環境を整える作用もあり、炎症をしずめたり、有害物質を分解し、ガスの発生を改善します。【3】【6】

●生活習慣病の予防・改善効果
食物繊維にはコレステロールを排出する働きがあるので、動脈硬化や糖尿病といった生活習慣病の予防をすることができます。【1】【5】

●美肌効果
パイナップルに豊富に含まれているビタミンCが、美肌を保ちます。ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。肌にハリを持たせたり、シミを予防する美容効果があります。
【2】【3】

パイナップルは食品やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

○疲れが溜まっている方
○便秘にお悩みの方
○食欲がない方
○おなかの調子を整えたい方
○生活習慣病を予防したい方
○美肌を目指している方

パイナップルの研究情報

【1】Ⅱ型糖尿病10名を対象に、パイナップルジュースを摂取させたところ、ブドウ糖負荷時と比較して、血糖値上昇が緩和されたことから、パイナップルは糖尿病予防として有望であると考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21984455

【2】皮膚熱障害ラットを対象に、パイナップル酵素分解物を塗布したところ、熱傷の回復が促進されたことから、パイナップルは皮膚保護作用を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2257064

【3】パイナップルの酵素成分ブロメラインは多くの薬理作用を持っており、抗炎症作用、血小板凝集抑制作用、創傷回復促進作用を持っており、高い機能性が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3287010

【4】ブロメラインは肉食品を柔らかくする特徴があり、パイナップルの皮から抽出されます。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21813595

【5】3T3-L1脂肪細胞を用いた試験では、パイナップル酵素ブロメラインはTNFαによる脂肪分解を増進するほか、脂肪酸分解酵素ならびにリポ蛋白リパーゼの活性が抑制されたことから、パイナップルは高脂血症ならびに生活習慣病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22292054

【6】パイナップル酵素成分ブロメラインは、炎症性物質の分泌を抑制することから、潰瘍性大腸炎を抑制するはたらきが期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18160345

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参考文献

・中嶋洋子監修 完全図解版 食べ物栄養事典―この症状・病気に効くこの食品、この成分 主婦の友社

・五明紀春、古川知子著 食材健康大辞典—502品目1590種まいにちを楽しむ 時事通信出版局

・食材図典 生鮮食材篇 小学館

・佐藤秀美著 イキイキ野菜図鑑—あらゆる食材の栄養・目利き・旬や保存法を、幅広く紹介! 日本文芸社

・Edo AE, Eregie A, Adediran OS, Ohwovoriole AE. 2011 “Glycaemic response to some commonly eaten fruits in type 2 diabetes mellitus.” West Afr J Med. 2011 Mar-Apr;30(2):94-8.

・Rowan AD, Christopher CW, Kelley SF, Buttle DJ, Ehrlich HP. 1990 “Debridement of experimental full-thickness skin burns of rats with enzyme fractions derived from pineapple stem.” Burns. 1990 Aug;16(4):243-6.

・Taussig SJ, Batkin S. 1988 “Bromelain, the enzyme complex of pineapple (Ananas comosus) and its clinical application. An update.” J Ethnopharmacol. 1988 Feb-Mar;22(2):191-203.

・Ketnawa S, Chaiwut P, Rawdkuen S. (2011) “Extraction of bromelain from pineapple peels.” Food Sci Technol Int. 2011 Aug;17(4):395-402.

・Dave S, Kaur NJ, Nanduri R, Dkhar HK, Kumar A, Gupta P. (2012) “Inhibition of adipogenesis and induction of apoptosis and lipolysis by stem bromelain in 3T3-L1 adipocytes.” PLoS One. 2012;7(1):e30831.

・Onken JE, Greer PK, Calingaert B, Hale LP. 2008 “Bromelain treatment decreases secretion of pro-inflammatory cytokines and chemokines by colon biopsies in vitro.” Clin Immunol. 2008 Mar;126(3):345-52.

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