ローヤルゼリー

royal jelly
蜂唾液 bee spit  honey bee milk

ローヤルゼリーとは、働きバチより2倍以上も大きく育ち、約4倍もの寿命を持つ女王バチの生命力の源です。ローヤルゼリーは三大栄養素である炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質をはじめ、ビタミンやミネラル、さらには必須アミノ酸など約40種類以上もの栄養をバランス良く含んでいます。

ローヤルゼリーとは?

●基本情報
ローヤルゼリーは、毎日2000個以上もの卵を産む女王バチのエサとして、働きバチが体内で合成する乳白色のクリーム状の物質です。女王バチは、一生涯ローヤルゼリーのみを食べて成長します。そのため、ローヤルゼリーは「王乳」とも呼ばれます。働きバチは生後数日間のみローヤルゼリーを食べますが、その後は自分で花粉とはちみつを集めて食べます。
女王バチが働きバチより2倍以上も大きく育ち、約4倍もの寿命を持つのはローヤルゼリーに含まれる栄養素によるものです。
働きバチははちみつとローヤルゼリーを生成しますが、両者はつくられ方も含有成分もまったく異なる物質です。
はちみつは、働きバチの大顎腺(おおあごせん)から分泌する酵素によって花の蜜が変化し、熟成した甘味の強い液状の物質です。一方ローヤルゼリーは、働きバチが食べた花粉を体内で分解・合成し、咽頭腺から分泌される乳白色の栄養素が豊富な物質です。
ローヤルゼリーの構成比は生産地域や気候によって異なりますが、約60~70%が水分、約12~15%がたんぱく質、約10~16%が糖質、約3~6%が脂質、約2~3%がビタミン、塩分およびアミノ酸で構成されています。
このように、ローヤルゼリーは三大栄養素である炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質をはじめ、ビタミンやミネラル、さらには人間の体では合成することのできない必須アミノ酸など約40種類以上もの栄養をバランス良く含んでいます。

●ローヤルゼリーの歴史
ローヤルゼリーの歴史は古く、古代ローマのアリストテレスの著書「動物誌」の中で、ローヤルゼリーであると考えられる「濃厚なはちみつに似た淡黄色の柔らかいもの」という記述があります。
はちみつとは異なるクリーム色の液体を食べたミツバチの幼虫が、女王バチへと成長することを知ったアリストテレスは、ローヤルゼリーそのものが女王バチを生み出すと考えたといわれています。
その後、19世紀頃からローヤルゼリーの持つ健康パワーが注目されはじめました。
ローヤルゼリーという名前は、今から約200年前、スイスのミツバチ研究者フランソワ・ユベールが著書「ミツバチの新観察」の中で、「ゼレー・ロワイヤル」と記述したことが始まりといわれています。

●ローヤルゼリーを摂取する際の注意点
ローヤルゼリーを摂取すると、まれに皮膚症状やぜんそくなど各種アレルギー反応が起こる可能性があります。
高い健康効果を持つローヤルゼリーはカプセル状や粉状などにされ多くの健康食品に配合されていますが、生ローヤルゼリーは、はちみつに溶かして摂取すると、はちみつの糖分がビタミンB1を消耗させてしまい、ローヤルゼリーの効果を薄めてしまうため、生ローヤルゼリーとはちみつを一緒に摂取する際は注意が必要です。
また、ローヤルゼリーは血液凝固阻止剤であるワルファリンと併用すると、ワルファリンの働きを強め、出血時に血が止まらなくなるなどの副作用が現れるため、併用を控える必要があります。

●希少な価値を持つローヤルゼリー
働きバチがつくりだすローヤルゼリーは、とてもわずかしか採取できない希少なものです。
養蜂家はミツバチの巣に女王バチがいない状態にし、働きバチの幼虫にローヤルゼリーを与えて、新しい女王バチを育てるというミツバチの習性を利用して、できるだけ多くのローヤルゼリーを採取しています。
働きバチが女王バチになるための王台と呼ばれる特別室を模したものを巣箱の中に設け、働きバチの幼虫にローヤルゼリーを与えて、孵化したばかりの働きバチの幼虫を移し入れます。
そして、女王バチとして育てさせ、幼虫を取り除き、ローヤルゼリーを採取します。
しかし、ひとつの王台につきローヤルゼリーはわずか300mgほどしか採取できません。
健康パワーが凝縮された自然がもたらすローヤルゼリーは、大変希少で価値のあるものだといえます。

ローヤルゼリーの効果

●免疫力を高める効果
ローヤルゼリーには免疫力を高める効果があります。細胞実験でその効果が確認されています。
また、ローヤルゼリーにのみ含まれるデセン酸は天然の抗生物質で、強い抗菌作用を持ちます。さらに、ローヤルゼリーに含まれるパントテン酸にも、ウイルスや細菌に対抗する抗体の合成をサポートする働きがあるため、風邪やインフルエンザにかかりにくい強い体を生み出す効果があります。【1】

●老化を防ぐ効果
ローヤルゼリーにのみ含まれる成分である「類パロチン」は、人間の唾液腺ホルモン(パロチン)によく似た物質で、筋肉や内臓、骨、血管などの体の重要な働きを持つ部分の老化を防ぐ効果があります。
類パロチンは肌の機能を維持する効果もあるため、若々しい肌を保つ働きもあります。
また、ローヤルゼリーに含まれる神経伝達物質のひとつであるアセチルコリンは、脳の老化の予防効果が期待されています。

●更年期障害の症状を改善する効果
ローヤルゼリーは、更年期障害の症状を改善する効果があります。
更年期障害とは、女性ホルモンのバランスの乱れが原因で、のぼせやほてり、めまい、イライラなどを引き起こす病気です。
ローヤルゼリーに含まれる脳内で情報を伝達するアセチルコリンには、自律神経の乱れを調整し、イライラやめまいなどの症状を改善する効果があります。
また、ローヤルゼリーに特有の脂肪酸であるデセン酸も、更年期障害や自律神経失調症に有効であるといわれています。【3】【6】【8】

●高血圧を予防する効果
ローヤルゼリーは、血圧上昇物質であるカルシトニン遺伝子関連ペプチドに働きかけ、血管拡張作用を示すことから、高血圧予防や生活習慣病を予防する効果が期待されています。
【2】【5】

●コレステロール値を下げる効果
コレステロールは体内の細胞膜やホルモンの材料となる物質で、大切な栄養素のひとつです。
コレステロールは活性酸素などによって酸化させられると、体にとって悪さを働くようになり、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの疾病につながる可能性があります。
また動物試験では、動脈硬化を誘発させるような食事をさせた実験動物にローヤルゼリーを投与することで動脈硬化が抑制されました。【7】【8】

●肝機能を高める効果
ローヤルゼリーには肝機能を高める効果があります。
ローヤルゼリーに含まれる必須アミノ酸であるメチオニンは、肝臓の働きを強化する効果があります。また、ローヤルゼリーには、イノシトールというビタミン様物質[※1]が含まれ、肝臓に脂肪が溜まらないようにする効果があり、脂肪肝や肝硬変を予防する効果があります。

[※1:ビタミン様物質とは、ビタミン類には含まれず、ビタミンと似た働きを持つ栄養素の総称です。]

食事やサプリメントで摂取できます

こんな方におすすめ

○免疫力を高めたい方
○老化を防ぎたい方
○更年期障害でお悩みの方
○血圧が気になる方
○コレステロール値が気になる方
○肝臓を健康に保ちたい方

ローヤルゼリーの研究情報

【1】ローヤルゼリーに含まれる機能性成分のひとつデセン酸は、免疫細胞のひとつT細胞にはたらきかけることが確認されました。ローヤルゼリーは免疫調節効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17630200

【2】果糖摂取ラットにおいて、ローヤルゼリーを1日当たり100, 300mg/kg 、8週間摂取させたところ、果糖摂取による血中インスリン濃度やトリグリセリド、収縮期血圧の増加が抑制されました。ローヤルゼリーは血圧上昇物質であるカルシトニン遺伝子関連ペプチドに作用した、血管拡張作用を持つことから、ローヤルゼリーは血管拡張作用、血圧降下作用を持つと考えられています
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18981581

【3】更年期症状を抱える女性120名にローヤルゼリーを4週間摂取させたところ、更年期症状スコアに改善が見られたことから、ローヤルゼリーには更年期障害予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22105039

【4】糖尿病合併症の足底潰瘍併発患者8名において、局所用ローヤルゼリー(5%配合)を3カ月間塗布したところ、潰瘍の軽減と治癒が見られたことから、ローヤルゼリーは糖尿病性合併症予防として有益であると考えられています
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22279458

【5】Ⅱ型糖尿病ラットにおいて、ローヤルゼリーを1日当たり10, 30, 300mg/kg 、4週間に摂取させたところ、収縮期血圧低下、血中インスリン濃度の減少およびインスリン抵抗性の改善が見られたことから、ローヤルゼリーには高血圧予防効果と糖尿病予防効果、生活習慣病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21163596

【6】卵巣摘出ラットにおいて、ローヤルゼリーを摂取させたところ、更年期症状に見られるコラーゲン産生の低下が抑制されたことから、ローヤルゼリーが更年期症状による皮膚老化に対する予防効果を持つことが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22468645

【7】健常人15名において、ローヤルゼリーを1日当たり6g 、4週間摂取させたところ、総コレステロールとLDLコレステロールが減少したことから、ローヤルゼリーには高コレステロール血症や動脈硬化予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17934240

【8】閉経後女性55名において、ローヤルゼリー含有食品を3カ月間摂取させたところ、更年期症状の指標であるクッパーマン指数において改善が見られ、血中の総コレステロールやLDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロールやトリグリセリドの上昇が見られました。このことからローヤルゼリー含有食品に更年期障害予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15775873

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参考文献

・田中平三 健康食品のすべて-ナチュラルメディシンデータベース- 同文書院

・NPO日本サプリメント協会 サプリメント健康バイブル 小学館

・日経ヘルス 編 サプリメント大事典 日経BP社

・原山 建郎 著 久郷 晴彦監修 最新・最強のサプリメント大事典 昭文社

・独立行政法人国立栄養研究所 “「健康食品」の安全性・有効性情報 「健康食品」の素材情報データベース”

・Vucevic D, Melliou E, Vasilijic S, Gasic S, Ivanovski P, Chinou I, Colic M. 2007 “Fatty acids isolated from royal jelly modulate dendritic cell-mediated immune response in vitro.” Int Immunopharmacol. 2007 Sep;7(9):1211-20.

・Zamami Y, Takatori S, Goda M, Koyama T, Iwatani Y, Jin X, Takai-Doi S, Kawasaki H. 2008 “Royal jelly ameliorates insulin resistance in fructose-drinking rats.” Biol Pharm Bull. 2008 Nov;31(11):2103-7.

・Yakoot M, Salem A, Omar AM. 2011 “Effectiveness of a herbal formula in women with menopausal syndrome.” Forsch Komplementmed. 2011;18(5):264-8.

・Siavash M, Shokri S, Haghighi S, Mohammadi M, Shahtalebi MA, Farajzadehgan Z. 2010 “The efficacy of topical Royal Jelly on diabetic foot ulcers healing: A case series.” Ophthalmic Res. 2010;44(3):166-72.

・Nomura M, Maruo N, Zamami Y, Takatori S, Doi S, Kawasaki H. 2007 “Effect of long-term treatment with royal jelly on insulin resistance in Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty (OLETF) rats.” Yakugaku Zasshi. 2007 Nov;127(11):1877-82.

・Park HM, Cho MH, Cho Y, Kim SY. 2012 “Royal jelly increases collagen production in rat skin after ovariectomy.” J Med Food. 2012 Jun;15(6):568-75.

・Guo H, Saiga A, Sato M, Miyazawa I, Shibata M, Takahata Y, Morimatsu F. 2007 “Royal jelly supplementation improves lipoprotein metabolism in humans.” J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2007 Aug;53(4):345-8.

・Georgiev DB, Metka M, Huber JC, Goudev AR, Manassiev N. 2004 “Effects of an herbal medication containing bee products on menopausal symptoms and cardiovascular risk markers: results of a pilot open-uncontrolled trial.” MedGenMed. 2004 Dec 16;6(4):46.

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